「小規模企業共済」とは、その名の通り、小規模な個人事業主や法人の役員等が退職したり事業を廃止した場合などに、それまでの積み立ての掛金に応じた共済金を受け取ることができる共済制度です。節税にもよく用いられますが、今回は、小規模企業共済とはなにか、メリット・デメリットを解説します。
小規模企業共済とは?
小規模企業共済は、小規模な個人事業主や法人の役員等に向けた独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供している共済制度のことです。対象は小規模な法人の役員や個人事業主となっており、退職したり事業を廃止した場合などに解約し、それまでの積み立ての掛金に応じた共済金を受け取ることができます。創業したばかりの個人事業主や、法人設立したばかりの社長が、この制度を退職金制度代わりに利用することが多く、特に個人事業主は、自分に退職金を支給できないので、上手く活用している人も多い制度です。掛金は、月々1,000~70,000円、500円単位で自由に設定が可能であり、加入後も増額・減額が可能となっています。将来共済金が戻ってくるときは、掛金納付期間に応じ最大120%相当額が戻ってきます。
小規模企業共済のメリット
以下が小規模企業共済へ加入するメリットといえます。
○掛金が所得控除になる
小規模企業共済の掛金は、全額が所得控除となり、掛金に税率を乗じた額の所得税・住民税が節税できることになります。単に預金で積み立てても節税になりませんが、小規模企業共済で積み立てると、税金が安くなってしまうのです。注意していただきたいのが、法人の経営者が加入したとしても、法人の損金にはならない点です。あくまで、個人単位で加入するものですので、法人税の節税効果は全くありません。
○受取時は退職所得となり税負担軽減
「この手の話は、掛金は経費になっても、共済金に税金がかかるんでしょ…」と思う方もいるとおもいますが、小規模企業共済はそんなことないのです!受け取る共済金は、「退職所得」になるので多くの方はほとんど無税に近い状態で受け取ることが可能であります。なぜなら「退職所得」は老後の生活資金を補填するための所得であるという考えから、「事業所得」や「給与所得」に比べて、大幅な税制優遇があるためです。
○一時貸付が利用可能
「契約者貸付制度」が存在するため、積み立てている金額の範囲内で、低金利により共済から資金を借りることもできます。(貸付利率:0.9%~1.5%(2019年5月現在))
小規模企業共済のデメリット
デメリットは1つ、元本割れリスクです。「独立行政法人中小企業基盤整備機構」のホームページでも、掛金納付月数が240ヶ月未満の場合は元本割れとなることが明記されています。共済に加入したが数年で解約してしまった場合などは、元本割れにより節税効果も台無しとなる場合が多いため、加入するタイミングは慎重に検討する必要があります。
まとめ
小規模企業共済は、個人事業主や、中小企業の経営者の個人の所得税・住民税の節税効果があり、かつ、退職金の準備もできるという大変優れた制度です。しかし、無計画に加入してしまうと、元本割れのリスクがありますので、加入のタイミングは慎重に検討するようにしてください。