法人成り(法人化)とは?会社設立との違い・法人成りのメリット

法人成り(法人化)とは?会社設立との違い・法人成りのメリット

個人事業主の多くが、年間の事業売上高が1,000万円、事業所得が500万円を超えたあたりを会社設立の判断基準と考えています。実際に、行っている個人事業が軌道に乗り始めて、「そろそろ法人化しようかな」と考えている個人事業者も多いのではないでしょうか。

個人事業が拡大したのちに会社を設立することは「法人成り」と言い、通常の会社設立とやや異なる点がいくつか存在します。メリット・デメリットも存在するため、個人事業の拡大を検討している方は、法人成りについて幅広く知識を得ておくことが大切です。

そこで今回は、法人成りとは具体的に何か、会社設立との違いや条件、メリット・デメリットを挙げながら詳しく解説します。法人成りと通常の会社設立は何が違うのかわからないという方や、法人化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

1.法人成りとは?会社設立と何が違う?

法人成りとは、個人事業主として事業を行っていた方が、会社・法人を設立することです。会社設立後は、これまで行っていた事業を引き続き行う形となります。

通常の会社設立は、個人事業主としてこれまで事業を行っていたわけではないため、個人事業主時代の事業や資産・負債を引き継ぐことはありません。運転資金を含む資本金を集めたうえで事業をスタートすることとなります。

一方で、法人成りで会社を設立した場合は個人事業主時代の資産を引き継げるため、比較的円滑に事業をスタートさせることが可能です。

そのほか、通常の会社設立の方が設立費用が高まったり、期間が伸びたりします。法人成りは通常の会社設立と比べて、初期投資を抑えられたり会社設立手続きが容易になったりするなどの点で有利と言えるでしょう。

 

1-1.法人成りができる条件

平成18年(2006年)の大幅な法改正では、最低資本金規制が撤廃され、役員数の規制も緩和されました。これにより、個人事業からの法人成りのハードルも非常に下がります。現在の法人成りができる条件は、下記の通りです。

  • 資本金1円から会社設立が可能
    →従来の法律では、「株式会社であれば資本金は最低でも1,000万円、有限会社であれば資本金は最低でも3,000万円」という最低資本金における規制があった
  • 取締役が1人以上存在すれば会社設立が可能(非公開会社の場合)
    →従来の法律では、「最低でも3人の取締役に加えて、1人の監査役が必要(合計4人)」という会社役員の人数における規制があった

 

2.法人成りする4つのメリット

行っている個人事業が軌道に乗り、事業売上高・事業所得が増加したタイミングで法人成りをすることには、ビジネス面においてさまざまなメリットがあります。特に大きなメリットには、下記4つが挙げられます。

  1. 社会的な信用度が高くなる
  2. 節税効果が得られる
  3. 事業継承がしやすい
  4. 負債の返済が減る場合がある

ここからは、それぞれのメリットをより詳しく説明します。

 

2-1.社会的な信用度が高くなる

個人事業から法人成りをすると、社会的な信用度が高まると言われています。法人化した会社は、企業所在地や資本金、役員といった重要事項を登記簿謄本から不特定多数の方が確認できるためです。

個人事業主の場合、登記簿謄本に所在地などを登記することはありません。そのため、法人よりも社会的な信用度は低くなってしまいます。法人成りをして登記簿謄本にあらゆる会社情報を登記することで、取引先を確保できるだけでなく、人材確保の面においても有利となるでしょう。

 

2-2.節税効果が得られる

法人成りをすることで、個人事業主時代では得られなかった節税効果を得られる点も大きなメリットです。法人成りの主な節税メリットには、下記が挙げられます。

  • 所得税ではなく、一定の税率である法人税が適用される
  • 役員報酬は「給与所得控除」が適用される
  • 役員の退職金が損金として認められる
  • 法人成り後の消費税納付が2年間免除される

年間の事業売上高が1,000万円、事業所得が500万円を超えたあたりで法人化を検討する個人事業主が多い理由は、節税効果の大きさが主な理由です。

年間の事業売上高・事業所得が増えれば増えるほど、支払わなければならない税金も増加します。個人事業主の場合も節税はできるものの、法人成りと比較して経費として計上できる項目は少ないと言えるでしょう。

 

2-3.事業継承がしやすい

法人成りは、個人事業と比べて事業継承がしやすい点もメリットです。

個人事業を行う事業主が、死亡または何らかの理由で事業を突然継続することができなくなってしまった場合、事業を継続させることが困難となります。事業主個人が認可の対象となっているためです。事業を継続させるためには、事業主が事業を継続させることができなくなる前に相続・贈与をするか、継承する方が新たに開業届を出さなければなりません。

しかし、法人成りの場合は認可の対象が法人そのものとなるため、たとえ事業主である社長が何らかの理由で事業を継続できなくなったとしても、推定相続人を新たな社長にすれば良いため、比較的スムーズに事業を継承できます。

 

2-4.負債の返済が減る場合がある

個人事業主はその名の通り個人となるため、「無限責任」を負うこととなります。どのような事業に失敗したとしても抱えている負債を全額返済しなければなりません。

一方で、法人成りをすれば株式会社・合同会社などとなるでしょう。株式会社・合同会社などの場合、個人とは異なり「有限責任」となるため、たとえ倒産をしてしまったとしても責任は出資した範囲内で負う形となります。負担の返済が減ると、万が一失敗したときのダメージも低いため、個人事業主と比較して再スタートが切りやすいと言えるでしょう。

 

3.法人成りする3つのデメリット

法人成りは、当然メリットだけではありません。法人成りをしても引き続きビジネスを成功させていくためには、法人成りのデメリットも理解しておく必要があります。

法人成りするデメリットには、主に下記3つが挙げられます。

  • 設立費用・維持費用がかかる
  • 社会保険の加入義務がある
  • 事務的な処理の負担が増える

ここからは、それぞれのデメリットを詳しく紹介します。

 

3-1.設立費用・維持費用がかかる

法人成りには、個人事業と比較して設立費用・維持費用がかかるという点がデメリットです。株式会社として会社を設立する場合は最低25万円の設立費用、合同会社を設立する場合は最低約10万円の費用が発生します。

加えて、会社設立の手続きは決して容易ではありません。設立の準備や手続きを司法書士・会計士・税理士などに依頼する場合は、さらに依頼費用が必要となることも念頭に置いておきましょう。

また個人事業主の場合、事業の維持費は少ない傾向です。しかし法人成りした場合は最低でも年間7万円の税金が発生することも覚えておきましょう。

 

3-2.社会保険の加入義務がある

法人成りをした場合は、健康保険・厚生年金保険といった社会保険の加入は必須です。従業員を雇う場合は、原則として従業員の社会保険料の半額を負担しなければなりません。

また、従業員を雇わず自分一人だけで事業を行う場合、従業員の数だけ必要経費が増えることはありません。しかし、個人事業主が支払う国民健康保険・国民年金保険に比べて社会保険料は高額となりやすい点に注意してください。

 

3-3.事務的な処理の負担が増える

法人成りをした場合、必要書類が著しく増加し、事務的な処理の負担が増加しやすい点もデメリットです。会計ソフトなどで各事業年度の課税売上高や支出、経費項目(勘定科目)を常に帳簿できれば負担は軽減できるものの、そもそも会計処理・税務処理などに知識を持たない場合はこれらノンコア業務の工数が膨れ上がる可能性も十分あります。

このような手間をすべて会計士・税理士に依頼するとなれば、その分依頼コストが発生することも覚えておきましょう。

 

4.法人成りや税務処理は税理士に依頼を!

個人事業から法人成りするためには、手続きをはじめとした労力が少なからずかかります。特に法人成り直前・直後は、新たな門出を気持ち良く迎えるためにも、ビジネスの基盤づくりに集中することも重要です。法人成りにおける知識を十分に持っていなければ、スムーズな法人成りができないだけでなく、何らかのトラブルが発生することも否めません。

労力や手間がかかる法人成りや税務処理は、まず税理士に相談することがおすすめです。「木村伸太郎公認会計士・税理士事務所」は、法人成りから税務関係の相談まで、会社設立におけるお悩みのすべてに対応しております。ビジネスが軌道に乗り、法人への切り替えを考えている個人事業主・フリーランスの方は、ぜひ手数料無料で会社設立のサポートを行う木村伸太郎公認会計士・税理士事務所にご相談ください。

 

まとめ

今回は、法人成りについて、通常の会社設立との違い・メリット&デメリットを挙げながら詳しく解説しました。法人成りには、社会的な信用度の向上や節税効果などのメリットもありますが、費用や手間におけるデメリットも存在します。

しかし、事業売上高や事業所得が増えるほどその分税金も発生すること・法人成りには高井節税効果が得られることを考えると、個人事業が軌道に乗り始めたタイミングで法人成りをした方が良いことは明白です。

労力や手間がかかる法人成りや税務処理は、税理士への相談が最もおすすめと言えます。ここまでの内容を参考に、ぜひ法人成りから税務関係の相談まで、会社設立におけるお悩みのすべてに対応している「木村伸太郎公認会計士・税理士事務所」に相談してみてはいかがでしょうか。