決算とは?法人・個人事業主の決算期や手続きの流れを丁寧に解説

決算とは?法人・個人事業主の決算期や手続きの流れを丁寧に解説

決算は、法人・個人事業主の方が1年に一度、必ず行わなければならない手続きです。決算の手続きを行う際は、決算書を作成する必要があります。基本的に決算書の作成は顧問税理士に依頼しているという方が多く、「ほぼ丸投げのためあまり目を通していない」という方も一定数います。

しかし、そもそも決算を行う目的やスケジュールから、決算書の種類・見方までを把握していなければ、自身の行っている企業・事業の経営状態を正確に把握することすらできません。

そこで今回は、決算の意味や目的から、決算を行う際に必要となる決算書の主な種類、さらに決算手続きのスケジュールを詳しく解説します。企業の経営者・起業を考えている個人事業主の方はぜひ参考にしてください。

 

1.決算とは?

決算とは、会社の年間収益・支出を算出し、業績を数字にまとめて決算書として確定させる処理手続きのことです。企業の経営者はもちろん、確定申告が必要な個人事業主も義務付けられている手続きとなります。決算を行うことにより、各期末の経営状況を把握することが可能です。

決算は事業規模の大小にかかわらず、1年に一度、会社の決算月に決算書・税務申告書を作成し、所轄税務署に提出するなどして手続きを行わなければなりません。

 

1-1.法人・個人事業主の決算期

決算の手続きを行う時期のことを、決算期(決算日)と言います。決算期は、法人・個人事業主とで時期が異なることが特徴です。

個人事業主は、法律で12月31日が決算日と定められています。会計期間はその期の1月1日から12月31日までです。なお、決算書が必要となる確定申告の期限は、毎年2月16日~3月15日ごろとなっています。

一方で、法人の場合は個人事業主のように決算日が決められていません。上場企業などは3月決算としていることが多いものの、事業内容や繁忙期に合わせて9月や12月など決算期を自由に決めることが可能です。

 

2.決算を行う目的

決算を行わなければならない理由は、主に「自社の業績・経営状態を取引先企業や株主に示すため」「納付すべき税額を算出するため」です。

決算で作成する決算書は、年間の収益・支出が記帳されるため、会社の財務状況や経営状態が一目でわかります。いわゆる、株主総会で使用する「経営成績を示した事業報告書」でもあります。決算書のない企業や、決算書の内容がずさんな企業は、経営状態の悪い・信頼のできない会社というイメージを持たれてしまい、取引や融資に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、決算書の作成により、国や地方自治体に納付すべき税金も算出できます。決算書は課税所得を確定する根拠の資料ともなるため、必ず期限内に行うようにしましょう。

 

3.決算書の主な種類

決算書は、経営上重要な書類となります。しかし決算書とひとくちに言っても、下記のようにさまざまな種類から構成されていることに注意が必要です。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 株主資本等変動計算書

ここからは、決算書の種類ごとに詳細をそれぞれ説明します。

 

3-1.貸借対照表

貸借対照表は、決済日時点での法人・個人事業主が保有している資産・支払い義務のある負債・負債を差し引いた純資産を表す書類のことです。要するに、企業・事業の財政状態を明確にするための決算書であり、お金の出どころと使い道が一目でわかる書類となります。

その企業・事業が安定経営を行っているかどうかは、賃借対照表に記載されている総資産を総資本で割った比率から把握することが可能です。割合が大きければ大きいほど安定経営をしているという判断ができます。

 

3-2.損益計算書

損益計算書は、法人・個人事業主の純粋な利益を表す書類です。損益計算書には、主に下記5つの利益項目が把握できます。

売上総利益「粗利」とも呼ばれる、売上高から仕入原価を差し引いた費用
営業利益売上総利益から経費を差し引いた費用
経常利益株の売却益など、本業以外の収益・費用
税引前当期利益その決算期に納付すべき税金を支払う前の利益額
純利益(当期利益)納付すべき税金を支払ったあとの最終的な利益額

上記5つの項目から、詳しく会社がどの費用を何に使用したのか・どれほど売上が伸びた(落ちた)か・どれほどの儲けが出た(赤字が出た)のかを判断することが可能です。

 

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに入出金を区別した、企業・事業の資金の流れを表す書類です。

「営業活動」によるキャッシュフロー主軸・本業となる事業の営業活動がどれほどのお金を生んでいるかを示す
「投資活動」によるキャッシュフロー設備投資など将来的なお金の流れを示す
「財務活動」によるキャッシュフロー資金調達(新規借り入れ・返済)などにおけるお金の流れを示す

「営業活動」によるキャッシュフローの項目は、プラスが多ければ多いほど資金繰りに余裕があるとみなすことができます。3つの活動として区分することで、事業の拡大に必要な費用を、生み出せるお金でどれほど賄えるか分析することも可能です。

 

3-4.株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書は、決算年度における純資産のうち、株主資本の変動を明確にするための書類です。主に「株主資本」「評価・換算差額」など複数の項目に分けて純資産を詳しく記載します。

他の書類とは違って、財務状況・経営状況の分析に使用されることは少ないものの、株主資本が増加または減少した項目や原因を把握することができます。

 

4.決算手続きのスケジュール

決算では、あらゆるお金の動きや必要書類などさまざまな準備をする必要があります。そのため、あらかじめ余裕をもったスケジュールを立てることが重要と言えるでしょう。

下記は、決算手続きのスケジュール例です。

STEP1取引内容を記帳する
STEP2決算整理を行う
STEP3決算書を作成する
STEP4申告書を作成して納税する

最後に、各ステップごとに何を行えば良いのかを具体的に解説します。

 

4-1.STEP1:取引内容を記帳する

決算書を作成するにあたり、まずは会計年度内の請求書・領収書を整理し、取引内容を記帳する必要があります。取引内容が不明の場合は正確な決算書を作成できないため、請求書・領収書はきちんと保管しておくようにしましょう。

年間の取引内容を決算日にまとめて整理するのは非常に手間がかかるため、日ごろから取引内容を会計ソフトなどに入力しておくことがポイントです。毎日帳簿する時間がないという場合は、短くても1ヶ月おきなど定期的に行いましょう。また、ここで帳簿したデータをもとに決算書が作成されるため、記入ミスや漏れがないよう確認することも重要です。

 

4-2.STEP2:決算整理を行う

取引内容を記帳したあとは、計画的に決算書を作成するためにも、決算整理を行いましょう。決算書を作成する前に整理・確認すべき項目は、下記の通りです。

  • 資産・負債
    銀行口座の残高確認、借入額の確認、在庫の棚卸など
  • 決算仕訳
    固定資産の減価償却、売上原価の計算・確認など
  • 税金計算
    消費税・法人税の計算など

なお、上記項目の確認にも時間を要します。そのため、なるべく早めに確認するようにしましょう。

 

4-3.STEP3:決算書を作成する

取引内容の記帳と決算整理が終わり、必要な情報もすべてまとめ終わったら、決算書を作成しましょう。決算書にミス・漏れがあった場合は再度修正が必要となるため、作成し終わったあとの見直しも必須です。

また、決算書は自身で作成することも当然可能ですが、相当な時間を要するため税理士に作成を依頼することも一つの手段です。税理士への依頼が向いているのは、下記のようなケースです。

  • 知識のある経理担当者がいない
  • 経理業務・会計業務の効率化を図りたい

なお、作成した確定申告書・決算書・取引の証拠となる書類(請求書・領収書など)の保存期間は、法律により原則7年と定められています。決算期が終わっても、必ず厳重に保管しておくようにしましょう。

 

4-4.STEP4:申告書を作成して納税する

決算書の作成が終わったら、作成した決算書をもとに申告書を作成します。作成した決算書・申告書は所轄税務署や地方自治体に提出し、決定した納税額で各種税金を支払いましょう。基本的に、法人税や消費税の納税は税務署、法人住民税や法人事業税の納税は地方自治体など、納める税によって申告・納税先が異なることに注意してください。

なお、確定申告・納税の期限は、原則として決算日の翌日から2ヶ月以内です。

 

まとめ

決算とは、会社の年間収益・支出を算出し、業績を数字にまとめて決算書として確定させる処理手続きのことです。事業規模の大小にかかわらず、法人・個人事業主の方は1年に一度必ず行わなければなりません。

「自社の業績・経営状態を取引先企業や株主に示すため」「納付すべき税額を算出するため」に必要な決算書の作成は、自身・自社で行うことも可能ですが、多くの時間を要するため計画的に進める必要があります。

「木村伸太郎公認会計士・税理士事務所」は、会社設立から申告書・決算書の記帳代行まで幅広くサポートしております。自身・自社で決算を行うことが大変だと感じる方、経理全般の業務を依頼してコア業務に集中したいという方は、ぜひ木村伸太郎公認会計士・税理士事務所にご相談ください。