会社を設立して無事利益が出るようになってくると、経営者の方々は節税対策に目が行くと思います。その中で「倒産防止共済」というものを耳にしたことはありますでしょうか?今回は「倒産防止共済」について詳しく解説させて頂きます。
倒産防止共済とは?
倒産防止共済(正式名称は、「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」)は、中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済で、万が一取引先が倒産して損失を被った場合には、積み立てた金額の最大10倍(最高8000万円)を「無利子・無担保・保証人不要」で借りることができます。返済方法は、6ヶ月の据置期間経過後、均等分割により毎月返済となります。この掛け金はほぼ積立となり、年間の上限額240万円まで、累計で800万円までを全額損金計上できるため、節税にもよく使われます。解約時の払戻金は、法人保険と同様に経過期間に応じた割合で受け取ることができます。支払った掛け金が全額経費となり、解約時の戻り率の高い商品は倒産防止共済以外にはありません。
240万円(累計800万円)
○借入可能金額
積立金の最大10倍(最高8000万円)
無利子・無担保・保証人不要
○返済期間
貸付を受けてから6ヶ月が過ぎた後、均等分割により毎月返済。
・5,000万円未満:5年
・5,000万円~6,500万円未満:6年
・6,500万円~8,000万円:7年
○解約時払戻率
12ヶ月以上継続:80%
24ヶ月以上継続:85%
30ヶ月以上継続:90%
36ヶ月以上継続:95%
40ヶ月以上継続:100%
貸付けを受けた金額の10%が、それまでに積立てた金額から消滅する仕組みです。つまり、それまでに3,000万円を積立てていた場合に、取引先の倒産により、3,000万円を借りた場合、積立てた300万円の全てが消えてしまいます。この場合、解約手当金を受取ることはできません。また、短期間での自己都合解約は元本割れを起こす可能性があるため、4年以上継続することを前提で加入する必要があります。
もう一つの特徴として、積立てたお金を担保とした「一時貸付」が利用できます。一時貸付で借りられる金額は、掛金総額の最大95%までとなっており、無担保・保証人不要で、かつ年0.9%の低金利で借りられます。返済方法は1年以内の、一括返済です。
掛け金の最大95%
無担保・保証人不要
年利0.9%
返済期日を過ぎると、年14.6%の違約金が課せられてしまいます。また、返済期日から5ヶ月を経過しても返済がないときは、掛金が取り崩されてしまいます。
節税効果はあるのか?
掛け金は全額損金となり、掛金を支払った年度については利益が圧縮され節税の効果があります。しかし、解約返戻金を受け取った場合、解約返戻金は全額収入として扱われます。つまり、倒産防止共済は、一時的に税金を先送りにできる方法ということになります。
まとめ
倒産防止共済は、法人税を少なくするためでも資産運用でもありません。法人税を支払うタイミングを後ろに伸ばすための方法です。万が一を考えた場合の保険として加入するのであれば、加入して損はないと考えられるでしょう。