個人事業として最後の年の事業税の扱いについての話です。法人成りをした年に、個人事業は廃業となります。ここで使えるのが見込控除です。例をあげて見ていきましょう。
経緯
・2019年5月15日に法人成り
・個人事業の事業期間:2019年1月1日~2019年5月15日
・個人事業に掛かる所得税の確定申告期限は2020年3月15日
・個人事業の事業税の通知があるのが2020年8月頃
節税内容
事業税の納付は2020年8月以降となるので法人化した後となります。すでに個人事業は廃業しているので、事業税を納めても経費に計上できません。そこで個人事業税の見込控除という計算をし、2019年分の経費(2019年1月1日~2019年5月15日)として計上します。
計算方法
見込控除額=(A‐B)×C ÷ (1+C)
A:事業税の課税見込額を控除する前の廃業年分の事業所得の金額
B:事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額
加算する金額:青色申告特別控除額(65万円)
減算する金額:事業主控除額290万円(月数按分する)
C:事業税の税率(5%~3%)
計算例
A:2019年1月1日から2019年5月15日までの 青色申告特別控除前の所得金額が 300 万円
B:減産する金額が290 万円×5 月÷12 月= 1,209,000円
C:事業税率は 5%
(3,000,000円‐1,209,000円)× 0.05 ÷(1 + 0.05)= 85,285円
この場合事業税の見込控除として、85,285 円を租税公課として計上できます。
まとめ
法人成りした最後の年の事業税は、法人成りした後に来るため忘れがちです。納付が終わった後に更正の請求を行い税金を戻すことも可能ですが、戻ってくるまでの期間は貴重な現金が手元からなくなってしまうことになります。確定申告の際、忘れずに計上するようにしましょう。