働き方改革や、副業の規制緩和などの政策により、様々な働き方が出てくると思います。そんな中で今回は、年度の途中で甲欄から乙欄、乙欄から甲欄になった従業員の年末調整について解説します。
甲欄から乙欄になった従業員
当社(A社)のある従業員が、年度の途中に甲欄から乙欄へ取扱いが変わったとします。
イメージとしては、
「今まで当社(A社)でメインで働いていたため当社(A社)では甲欄であったが、このたび退職をして別の会社(B社)でメインで働くようになった。しかし、人手不足の影響もあり、引き続きパートみたいな感じで当社(A社)で勤務をしてもらうようになった。」
といった感じです。
この場合、A社としては、甲欄の分だけで年末調整せずに源泉徴収票を発行し、乙欄の分だけでもまた源泉徴収票を発行します。
甲欄の分の源泉徴収票には、甲欄での期間の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料の金額」を記入し、(摘要)に「主たる給与等の支払者でなくなった旨及びその年月日」を記載すれば大丈夫です。
乙欄の分の源泉徴収票も同様に、乙欄での期間の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料の金額」を記入し、(摘要)に「年調未済」と記載すれば大丈夫です。
ちなみに、もらった従業員本人は、上記2枚の源泉徴収票と、新たに勤務した会社もらう源泉徴収票の計3枚で確定申告を行う形になります。
乙欄から甲欄になった従業員
当社(A社)のある従業員が、年度の途中に乙欄から甲欄へ取扱いが変わったとします。
イメージとしては、
「今まで他にメインで働いていた会社(C社)があり、副業としてパートのような感じで当社(A社)で働いてもらっていたため乙欄であったが、このたびC社を退職をして、当社(A社)メインとなったため、当社(A社)で甲欄となった。」
といった感じです。
この場合、A社としては、退職したC社の甲欄の分の源泉徴収票を入手したうえで、A社の乙欄の分の給与、A社の甲欄の分の給与をすべて合算し、年末調整を行ってあげて、源泉徴収票を発行することになります。(摘要)にはC社の情報を就職前に他の支払者から受けた給与等を通算して年末調整を行う場合に準じて記載を行ってください。
年末調整を行う最終時点で甲欄として在籍している会社の分は甲・乙をわざわざ分けて源泉徴収票を発行する必要がないというのがポイントです。
ちなみにこの場合、従業員本人は、確定申告を行わなくても済みます。
まとめ
年度の途中で甲欄から乙欄、または、乙欄から甲欄に変更するケースは、今まであまりなかったかもしれません。しかし、今後働き方の多様化により発生する可能性も出てくると思いますので、その際は取扱いに注意するようにしてください。