掛取引とは?メリットや売掛金の回収トラブルを防ぐポイントも

掛取引とは?メリットや売掛金の回収トラブルを防ぐポイントも

掛取引とは、「ツケ払い」のように代金を後払いする取引方法です。企業間の売買は頻度が高く、代金も高額となることから、掛取引が一般的に行われています。掛取引にはメリットも多いですが、売掛金の回収遅延や貸倒れなどのリスクがあることも理解しておかなければなりません。

当記事では、掛取引のメリット・デメリットや売掛金の回収トラブルを防ぐポイント、掛取引に関する具体的な仕訳方法について解説します。取引先企業との掛取引の契約を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

 

1. 掛取引とは?

掛取引とは、一定期間内の取引金額を合算して後払いとする取引です。主に企業間で行われており、販売側と仕入側の信頼関係に基づく取引であることから「信用取引」とも呼ばれます。

掛取引の契約時には、取引期間と支払期日を定めます。取引期間中は仕入側が代金の支払いなしで商品を受け取り、期日までに代金をまとめて精算する仕組みです。

たとえば、取引期間を毎月1か月間、支払期日を翌月15日と設定した場合、取引時点でその都度支払うのではなく、前月分の取引金額を翌月15日に支払うことになります。

掛取引の仕組みそのものは、クレジットカードでの買い物をイメージすると分かりやすいでしょう。掛取引は企業間で直接結ぶ契約であるため、クレジットカード会社を挟んで精算を行うわけではありませんが、「一定期間分の代金を後払いする」という意味では同じ性質です。

また、掛取引では、販売側が請求できる代金を「売掛金」、仕入側が支払うべき代金を「買掛金」と呼びます。

 

2. 掛取引を行うメリット・デメリット

掛取引には、さまざまなメリット・デメリットがあります。掛取引の採用を検討する際には、メリット・デメリットを十分に比較して、自社にとってプラスになるかどうかを考えた上で決めましょう。

以下では、掛取引のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

 

2-1. 【メリット】取引の手間を減らせる

掛取引を利用することで、現金のやりとりや銀行振込、見積書・請求書の発行など、売買にかかる手間・時間を減らせます。

企業間取引は継続的に行われることが多く、毎月何度も売買が発生するケースも少なくありません。取引ごとに精算を行うと、販売側・仕入側のどちらにとっても手間となるでしょう。

掛取引によりまとめて精算を行えば、代金支払いや請求業務などが最低限の回数で済むため、互いの業務効率化にもつながります。

 

2-2. 【メリット】手持ちの現金がなくても取引できる

掛取引における仕入側のメリットは、手持ちの現金を用意できない場合でも仕入が可能な点です。

企業間の売買では、取り扱い商品の内容や仕入の量により、代金が高額となるケースもあります。タイミングによっては、その場で現金払いをするのが難しいこともあるでしょう。

掛取引による売買では期日までにまとめて支払いを行えばよいため、取引ごとに現金を用意する必要はありません。

 

2-3. 【メリット】販売機会を増やせる

掛取引の販売側のメリットとして、自社商品の販売機会を増やせる点が挙げられます。

掛取引の採用は、仕入側にもさまざまなメリットがあります。同じ商品を仕入するのであれば、現金取引に限定している企業よりも、掛取引を採用している企業を選びたいと考えるのが一般的です。

また、掛取引では取引ごとに現金を用意する必要がないため、大量の際にもスムーズな取引が可能です。掛取引を行うことで、新規取引先や販売機会を増やすことにもつながります。

 

2-4. 【デメリット】信用取引のリスクがある

掛取引にはさまざまなメリットがある一方で、支払いの遅延や貸倒れなどのリスクも存在します。

掛取引は、販売側と仕入側の信頼関係によって成立する信用取引です。必ず売掛金を回収できるという保証はないため、仕入側の業績悪化などを理由に支払いが遅延したり、貸倒れが発生したりする可能性もあります。

予定通りに売掛金を回収できなければ、最悪の場合は法的措置を検討しなければなりません。回収業務には手間も時間も必要であり、本業の妨げとなる恐れもあります。

 

3. 売掛金の貸倒れを防ぐためのポイント2つ

掛取引を行う際、販売側の多くは売掛金の回収が予定通り行えるかどうか不安に感じているでしょう。売掛金の回収遅延や貸倒れが発生すると資金繰り悪化を招くのはもちろん、金額によっては倒産の危機にまで追い込まれてしまう可能性もあります。

ここでは、売掛金の貸倒れなどのトラブルを回避するために押さえておくべきポイントを2つ解説します。

●顧客ごとに与信管理をしっかりと行う

貸倒れを防ぐには、取引開始前に仕入側企業の情報収集・与信管理を丁寧に行うことが重要です。与信管理とは、顧客の信用度を審査して取引可否や取引条件、限度額などを決定することを指します。具体的には、決算内容や経営スタイル、事業規模などを調べることで信用度を判断します。

企業の経営状況は日々変化するため、取引開始後にも定期的な与信管理を行いましょう。特に、支払いの遅延が頻繁に起こるようであれば、仕入側企業の最新の経営状況を確認する必要があります。

●日頃から専門家に相談する習慣をもつ

売掛金の回収漏れや貸倒れを防ぐポイントとして、専門知識に基づいた適切な管理が挙げられます。

支払い遅延などのトラブルが発生した場合には、スピーディーかつ適切な対処がカギとなります。回収漏れや貸倒れを防いで確実に回収するため、会計・税務のプロフェッショナルである税理士に相談するのがよいでしょう。

実際にトラブルが起きてから慌てることがないよう、日頃から疑問や困りごとを専門家に相談する習慣をもつことが重要です。

 

4. 掛取引に関する仕訳方法

掛取引に関する仕訳方法について、4つの事例に分けて紹介します。

●商品が売れたとき

販売側の立場で、商品が売れた際の仕訳方法です。ここでは、掛取引によって100,000円の商品を売った場合を想定します。

借方貸方
売掛金100,000円売上100,000円

商品を売った時点では代金未回収であるため、借方の勘定科目は「売掛金」となります。貸方の勘定科目は、収益である「売上」です。

●売掛金を回収したとき

販売側の立場で、期日に売掛金を回収した際の仕訳方法です。ここでは、売掛金100,000円が普通預金に振り込まれた場合を想定します。

借方貸方
普通預金100,000円売掛金100,000円

振込手数料を自社で負担するケースでは、取引額から差し引かれて入金されます。振込手数料が300円であった場合、仕訳方法は以下の通りです。

借方貸方

普通預金

支払手数料

99,700円

300円

売掛金100,000円

また、現金決済や手形による支払いの場合には、借方の勘定科目は「現金」となります。

借方貸方
現金100,000円売掛金100,000円

●仕入を行ったとき

仕入側の立場で、商品の購入を行った際の仕訳方法です。ここでは、掛取引によって100,000円分の仕入を行った場合を想定します。

借方貸方
仕入高100,000円買掛金100,000円

仕入時点では代金が未払いであるため、「買掛金」は負債の勘定科目です。また、「仕入高」は費用にあたります。よって、借方には「仕入高」、貸方には「買掛金」と記載します。

●買掛金を精算したとき

仕入側の立場で、期日に買掛金を支払った際の仕訳方法です。ここでは、買掛金100,000円を普通預金から振り込んだ場合を想定します。

借方貸方
買掛金100,000円普通預金100,000円

仕入時に発生した負債が消えることから、借方には「買掛金」と記載します。また、支払いによって資産が減少するため、貸方は「普通預金」です。現金で支払いを行った場合には、貸方の勘定科目は「現金」となります。

借方貸方
買掛金100,000円現金100,000円

 

まとめ

掛取引とは、一定期間内の取引にかかる代金をまとめて後払いする取引方法であり、主に企業間の売買で行われています。取引ごとの現金のやりとりや伝票作成の手間を省けるなどのメリットがある一方で、支払遅延や貸倒れといったリスクも大きいため注意が必要です。

売掛金の回収トラブルを防ぐには、取引先ごとの丁寧な与信管理がポイントです。また、回収業務はスピーディーさと適切な対処がカギとなるため、トラブルが起こった場合は税理士などの専門家に相談するのがよいでしょう。