相続税 配偶者控除のデメリット!

夫婦間の相続には、配偶者の税額軽減という制度があります。夫婦間の相続は最低でも1億6000万円(※)まで、相続税が課税されないのです。お持ちの財産が1億万6000万円以下の夫が亡くなってしまった時に、全財産を妻が相続すれば、相続税は0円になります。
※正確には「法定相続分と1億6000万円のいずれか多い金額まで」となっていますので、法定相続分が1億6000万円より多くなる場合は、法定相続分まで相続税が課税されません。

夫婦間では最低でも1億6000万円まで相続税がかからないなら、最大限それを使った方がお得!デメリットなんてあるのか?と思う人も多いと思います。しかし、ここが相続税の落とし穴です。配偶者の税額軽減があるからといって、必要以上の金額を配偶者に相続させてしまうと、結果として損をしてしまう可能性が非常に高くなるのです。

配偶者控除で損をしてしまう可能性が高くなる

たしかに、最初の相続(一次相続)で配偶者がたくさん相続すれば、その時の相続税は少なくなります。問題になるのは二次相続です。一次相続で配偶者が多くの財産を相続すると、次にその配偶者が亡くなった時の相続税が高くなります。 一次相続と二次相続とでは、仮に同じ金額の財産を相続する場合でも、圧倒的に二次相続の時の方が相続税が割高になるのです。

なぜ、二次相続が割高になるのか?

理由は2つあります。

1つ目の理由は、相続税の税率の仕組みに原因があります。相続税の税率は、財産が増えれば増えるほど、その税率もあがる構造がとられています。最低10%から最高55%までの税率があります。ここでポイントになるのが、相続をする人がもとから所有している財産です。配偶者から相続をする前から自分自身の財産を持っている場合もあります。既に財産を持っている人が、配偶者の全財産を相続すると、その時の相続税は0円になったとしても、相続した後の所有の財産は、2人分が合算され、非常に大きくなってしまいます。この状態のまま相続をされた人が亡くなってしまうと、相続税の税率が非常に高くなってしまうのです。夫婦間で相続させすぎると二次相続の財産額が大きくなってしまう。財産額が増えると、相続税の税率が高くなってしまいます。

2つ目の理由は、相続人の人数にあります。二次相続においては、配偶者が既に亡くなっている状態で相続をすることになるので、一次相続の時より法定相続人が1人減ってしまうのです。
この相続人が1人減るということが、相続税を大幅に増加させる最大の原因です。相続税の計算は、相続人の人数に基づいて計算されています。ここで重要なポイントは、相続税は相続人が多くなるほど少なくなるという性質を持っていることです。相続税は、正味遺産額が基礎控除の額を上回った場合に、上回った金額に税率を乗じることにより発生します。相続人の数が1人減るだけで、基礎控除の額が600万円減ってしまいます。よって、相続人が1人減ると相続税が大幅に増加してしまうのです。

上記2つの理由が重なることにより、二次相続の時の方が、相続税が割高になるのです。一次相続で必要以上に配偶者に相続させすぎると、たとえ一次相続で相続税が免除されたとしても、次の相続と合わせて考えた場合、大きく損をする可能性があります

まとめ

夫婦間の相続においては最低でも1億6000万円まで相続税はかかりません。このメリットは非常に大きいです。しかし、一次相続で必要以上に配偶者に相続させすぎると、たとえ一次相続で相続税が免除されたとしても、次の相続と合わせて考えた場合、大きく損をする可能性があります。二次相続まで考慮に入れた相続税対策が重要です。

(令和元年9月現在の法律に基づき記載しております)

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