相続税は、亡くなった人の財産の、亡くなった時の時価に対して課税されます。「時価」とは、簡単に言うと「今すぐ換金したらいくらになるか?」というものです。現金や預金、上場株式などは、その時の時価を誰でもみることができますので簡単です。今回は建物の評価について解説したいと思います。
建物の相続税評価額の計算
一方で不動産は大変です。実際に売るわけではないのに、いくらで換金できるかを調べなければいけません。不動産鑑定士に依頼をすれば…ということも考えられますが、鑑定士によって金額に幅も出ますし、相続があるたびに鑑定しているわけにもいきません。そこで、国税庁は財産の評価額を誰でも簡単に計算できるように簡単に計算できる共通ルールを導入しています。それが財産評価基本通達です。今回は、建物の評価額について解説していきます。
※土地についてはこちらの記事を参照してください。
建物の具体的評価方法
建物の評価を行うにあたり用意するのは、固定資産税の納税通知書です。毎年4月の終わりごろから5月頃にかけて送られてくる書類です。この書類には、建物の「固定資産税評価額」が載っています。「価格」と記載されているのが「固定資産税評価額」です。マンションの場合には、価格の欄に一棟丸ごとの固定資産税評価額が記載されます。部屋ごとの「固定資産税評価額」は、その隣の欄の「課税標準額」となります。この「固定資産税評価額」が、そのまま相続税を計算する際の評価額として使われます。とても簡単です。
ここまでできる節税効果!
もしその建物が賃貸されている場合には、「固定資産税評価額」から30%減額することが認められています。また、建物の相続税評価額に用いられる「固定資産税評価額」は、実際の建築価格のおおよそ60%程度でつけられています。これが何を意味しているかというと、1億円の現金でアパートを建設すると「固定資産税評価額」は6,000万円となり、現金で持っているより相続税評価額が圧縮できるということです。このマンションを賃貸に出せば、さらに30%減額され、相続税評価額は4,200万円まで圧縮されます。1億円が4,200万円まで圧縮されるので節税効果は大きなものとなります。
まとめ
建物の相続税評価額は「固定資産税評価額」を使います。自分で使っている場合には「固定資産税評価額」をそのまま使い、賃貸している場合には「固定資産税評価額」から30%OFFした金額を使います。建物の相続税評価額の算定方法は、知ってさえいればとても簡単です。
(令和元年9月現在の法律に基づき記載しております)