ついこのあいだ相続が発生し、ようやく相続税の申告と納税も終わったと思ったら、また相続が…。そんなときは『相次相続控除』が適用できるかもしれません。
相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)とは?
相次相続控除とは、第1次相続で今回の被相続人が支払った相続税のうちの一部を、今回の相続(第2次相続)における相続税の計算上控除できるという制度内容となります。
控除できる相続税の税額の計算式
A=今回の被相続人が前回の相続で支払った相続税
B=今回の被相続人が前回の相続でもらった財産価額
C=今回の相続における財産価額の合計額(C>B-A のときは、C=B-A)
D=今回の相続で相次相続控除をうける相続人が取得した財産価額
E=前回の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満は切り捨て)
かなり複雑なように見えますが、分かりやすく言い換えると、『今回の相続の被相続人が前回の相続のときに支払った相続税のうち前回の相続から今回の相続までの経過年数×10%部分を減額した金額を今回の相続で発生した相続税から控除できる』という制度になります。
前回の相続がH25.12.3で今回の相続がH30.10.18
- 経過年数は4年10ヶ月15日なので、1年未満切捨てで4年(E)
- 今回の被相続人が前回の相続で支払った相続税=1,000万円(A)
- 今回の被相続人が前回の相続でもらった財産価額=1億円(B)
- 今回の相続における財産価額の合計額=6,000万円(C)
- 今回の相続で相次相続控除をうける相続人が取得した財産価額=3,000万円(D)
相次相続控除が適用できる人の要件
以下の3つの要件があり、すべての要件に当てはまる必要があります。
- 相続人であること
今回の相続の被相続人の相続人であることが条件です。そのため、遺言書で財産をもらった受遺者や、相続放棄をして生命保険のみを取得した者などは含まれません。 - 今回の相続発生前10年以内に発生した相続により被相続人が財産を取得
連続して10年以内で相続が発生している場合にのみ適用が可能です。 - 前回の相続で被相続人に相続税が課税されていること
前回の相続で被相続人が相続税を支払っていることが要件となります。例えば、配偶者の税額軽減等で前回の相続では相続税の納税が生じていなかったようなケースでは、この要件には該当しないこととなります。
相次相続控除を適用する際の申告方法
相続税申告書の第7表にこの情報を記載していきます。書式の項目に従って記載すれば迷うところはないと思います。
相次相続控除を適用する際の添付資料
前回の相続税申告書のうち「第1表」「第11表」「第11表の2」「第14表」「第15表」
まとめ
10年以内に連続して相続が発生した場合には、同じ財産に対して二重で相続税が課税されてしまう形になってしまいますので、それを回避するためにこの相次相続控除が設けられています。この特例は申告して初めて使える特例となりますので、該当される可能性がある場合には忘れずに適用を受けるようにしてください。
(令和元年9月現在の法律に基づき記載しております)