会社を設立して開業しようという場合、手許資金が不足していれば資金調達を考えなければなりません。ではどのような資金調達の手段を思い浮かべるでしょうか?
多くの方がぱっと思いつくのは、「銀行から借りる」という手段かと思います。しかし、設立したばかりの会社で銀行借入ができるのかが問題です。そこで候補に上がるのが、『創業融資制度』です。『創業融資制度』について、相模原・八王子の会社設立・創業融資に強い若手税理士が徹底解説します。
日本政策金融公庫の創業融資
日本政策金融公庫の創業融資は無担保・無保証の融資制度も存在し、資金調達の有力候補になると考えられます。起業する方を支援する機関ですので、適切な融資資料の作成と最低限の資金(※)があれば融資を受けることができます。
※平成30年6月現在の制度では、最大で自己資金(単なる貯金でなく、事業に使用される予定の資金)の9倍まで借入ができることになっていますが、平成26年までの制度では自己資金の2倍までしか借入できないことになっていたこともあり、実際の相場は自己資金の2~5倍というのが実感です。
自治体制度融資
自治体が実施している融資制度があり、都道府県単位の制度と市区町村単位の制度があります。いずれの制度も信用保証協会の債務保証を付し、金融機関から融資が実行されることになりますので、審査が複数回にわたり、本政策金融公庫の融資に比べると時間を要し、手間も多くかかります。また、信用保証協会に保証人になってもらう場合には、社長は原則的に保証人にならなければなりません。
平成30年度の相模原市の創業支援融資制度の概要は以下のようになっています。
○融資限度額2,000万円
○資金使途運転資金及び設備資金
○利用者負担利率年0.6%以内(融資利率(2.1%以内)から市負担利率(1.5%)を差引いた実際にかかる利率)
○融資期間7年以内(据え置き1年以内)
上記負担利率に加えて、信用保証料も負担することになります。自治体の制度ということもあり、適切な融資資料の作成があれば、融資を受けることができますが、どんな方でも融資限度額まで借入可能なわけではなく、自己資金や資金使途、返済可能性の説明が重要になってきます。
あなたならどっち?
一概に良し悪しを判断できかねますし、様々な見解があると思いますが、私見では日本政策金融公庫です。
まず、日本政策金融公庫の大きな魅力は、『無担保、無保証』であることです。会社がつぶれたら、経営者個人は、借金は返さなくともよいのです。制度融資は、経営者は保証人として個人としても責任を取らされます。
また、自治体制度融資は、『スピードが遅い』という欠点があります。日本政策金融公庫と比較すると、融資実行が、2ヶ月ほど遅れることがあります。
金利についても、市区町村の制度融資は、利子補給や信用保証料の補助があるので、一見すると金利が安いような印象を与えますが、実質的な負担総額を日本政策金融公庫の金利と比べると、一概にどちらが有利とは言えません。また、日本政策金融公庫には、状況に応じてさまざまな金利引き下げ措置があります。
金額についても、日本政策金融公庫の方が、貸し出してくれる金額が大きい傾向があります。市区町村の制度融資は、資金量が限られているので、市区町村にもよりますが金額が小さくなってしまう傾向があるのです。
審査の厳しさはというと、人や支店によって変わりますので、どちらの方が厳しいか緩いかは判断が難しいと言えます。あかりパートナーズでは、あなたの仕事の魅力と事業の将来性を伝えるべく尽力させていただきます!